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免震構造の仕組み|制震構造との違いやメリット・デメリットも解説
地震大国といわれる日本では、これまでにさまざまな対策が行われてきました。
その一つが、1980年代に実用化された「免震構造」という建築の仕組みです。
免震構造といっても、あまりピンとこない方もいらっしゃると思います。
免震構造とは、建物と基礎の間に特殊な素材を入れて、地震時の衝撃が直接建物に伝わらないようにする構造のことです。
この記事では、免震構造の仕組みと特徴・免震構造と制震構造や耐震構造との違い・免震構造のメリットとデメリットについて分かりやすく解説します。
目次
免震構造の仕組みと特徴
「免震構造」とは、建物と基礎との間に特殊な装置を設置し、地震の際の揺れを吸収することで建物にダメージが直接伝わらないようにする仕組みです。
建物と基礎の間に入れる装置には、水平方向にやわらかく変形する「積層ゴム」などの絶縁材が使用されます。
免震構造があると、地震による激しい地盤の揺れが生じても、建物が地盤の揺れに合わせずにゆっくりと動くため、衝撃が緩和され、建物自体はほとんど損傷を受けません。
免震構造と制震構造・耐震構造の仕組みの違い
「免震構造」に似た言葉に、「耐震構造」「制震構造」というものがあります。
これらは、どう違うのでしょうか?
「耐震構造」と「制震構造」の仕組みを知ることで、免震構造との違いが理解できます。
耐震構造
「耐震構造」とは、柱や梁などの建物の構造そのものの強度を高めることで、地震時の揺れに対する耐久力を高める仕組みです。
柱同士の間に筋交いを設置して補強したり、耐力壁を効果的に配置したりすることで、耐震性を高めます。
耐震構造では建物自体は頑丈に作られていますが、免震構造とは異なり、地震時の揺れが直接伝わるため、上層階にいくほど揺れは大きくなります。
また、室内の置物・家具類にも揺れが伝わり、大きな地震の際には倒れる可能性があるため、注意が必要です。
制震構造
「制震構造」とは、建物の骨組みに制震装置(ダンパー)を取り付けることで、地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを抑える構造です。
免震構造が建物と基礎の間に装置を取り付けるのに対し、制震構造では建物の骨組みに装置を取り付ける点が異なります。
制震構造は耐震構造よりも地震時の揺れを抑えることが可能で、規模の大きい地震でも柱・梁・壁の損傷が軽減されます。
また、壊れる部分が制震装置に限定されるため、大地震の際の建物の復旧が比較的容易です。
制震構造は、高層オフィスビルにおける風揺れ対策や耐震性の向上を目的として、多く採用されています。
免震構造のメリット
免震構造の最大のメリットは、耐震構造や制震構造よりも横揺れに強いことです。
地面から建物に伝わる揺れそのものを緩和できるため、室内の置物や家具の転倒を防ぐことができます。
また、建物の強度を高めることで自身の揺れに耐えられる耐震構造とは異なり、免震構造では建物自体へのダメージを減らせるため、地震が複数回起きたとしても耐えることが可能です。
免震構造であると、大きな地震の際にもあまり揺れを感じないため、精神的な面でも安心感を得ることができます。
免震構造のデメリット
免震構造の大きなデメリットは、他のシステムに比べると、費用面の負担が大きいことです。
耐震構造の場合は、リフォームなどの際に、部材の接合部の補強や屋根の軽量化などで比較的簡単に対処できるため、費用を安く抑えることができます。
また、建物を新築する際には、法律で一定の耐震強度にすることが義務付けられているため、耐震構造の費用が最初から建築費に含まれています。
一方の免震構造は、免震の設計費用がかかるほか、積層ゴムなどの免震装置・免震部材が必要になるため、免震構造を採用しない場合に比べると費用が上乗せされることになります。
さらに、建物と地面の間を切り離す必要があるため、既存の建物に免震構造を施すのは容易ではありません。
まとめ
以上、免震構造の仕組み・制震構造や耐震構造との違いなどについて、ご紹介しました。
免震構造は、耐震構造や制震構造と比較すると、建物そのものへのダメージを大幅に軽減できる優れた仕組みです。
一方コスト面では、他のシステムに比べて費用が上乗せされて、負担が大きくなる傾向があります。
建物への免震構造の採用を検討する際には、メリットとデメリットの双方をよく見極めた上で判断することが重要です。
性能面と費用面のバランスが取れた、より良い選択をしてくださいね。
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